未成年者取り消しについて

学生ローンについて」で書いた未成年取り消しについて詳しく書きたいと思います。
まず、未成年者が親などの法定代理人の承諾をしないで行った契約などの法律行為は、一応は有効です。
消費者センター等のホームページでは、そこを書いていない場合がほとんどですが、契約する事事態に違法性はありません。
「取り消し」とは、法定代理人の承諾なしでなした契約を、後から取り消しをする事ができる権利です。
本人や親などが取り消しを主張しない限り、契約は有効なものとして扱われます。
 
■取り消しの効果
取り消しをすると、既に消費してしまったものについては返還の義務を免れます。
ただし、まだ手元にいくらか残っている場合は返還しなければなりません。
商品を購入した場合は、商品を返還し、お金を返してもらう事になります。
お金が戻ってくれば現存利益がありますので、ローン会社への返還義務は負う事にないます。
そのお金をまた他の事に浸かってしまったという場合は、権利の乱用になりますので返還の義務を負う事になります。
 
■取り消しの例外
未成年者でも取り消しができないケースがいくつかあります。
例えば、本人が結婚している場合や、免許証などを偽造して成人しているように詐称した場合などです。
このあたりは消費者センター等のホームページでいくらでも出ているので、後で検索してみて下さい。
尚、一説では生活する上で必要なものに使った場合は、取り消しができないとうものもあります。
これは、過去の判例(昭和7年10月26日、大審院判決)もある事から、有力な説ではありますが、解釈のしようによってはどうとでもとれる微妙なものでもあります。
焦点となるのは、例えば水道代を取り消す事はできません。
命に係わるものですので。
しかし、水道料金を払う為に借りたお金はどうなのでしょうか?
この場合、水道会社に対して取り消しができないのは明らかです。
その支払いの為に借りたお金ですから、返還の義務を負うという解釈もできますし、水道会社の契約と貸金契約は別物だという解釈もできます。
このあたりは私も判断が難しいと思いますので、もし争いになった場合は注目の裁判となるでしょう。
 
■マルチ商法や詐欺被害が多い
未成年取り消しを主張する者の多くは、マルチ商法やパチンコの攻略など、詐欺的な話に騙されたというケースが多く見られるという記事を前に見た事があります。
「自分は被害者だ」という思いが強く、その責任を貸金業者などに転嫁するのもいかがなものかと思いますが、冷静に考えると本人は一切の損害がでない事になり、一番の被害者は貸金業者という事になります。
しかも、一番の悪者である詐欺師の方は、まるまる儲けです。
詐欺は犯罪ですが、よほど規模が大きい事件でないと警察はなかなか動きません。
細かい話を全部聞いていたら、警察官が何人いても足りないからです。
本当であれば、詐欺師が一番痛い思いをしなければいけないはずなのに、なんとも煮え切らない話です。
 
■なぜ未成年者と契約するのか?
おそらく未成年取り消しをする者の比率があまり高くないからでしょう。
取り消しというリスクがあるにも関わらず、あえて契約をするという事は、貸し倒れリスクも含めて利益があるからだと思います。
そうでなければ未成年者と契約をするような事は絶対にないはずです。

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